2017/9/19

読売新聞に掲載されました

AlonAlon
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ラン栽培の障害者 自立支援
NPO苗のオーナー募る
富津に温室 販売収益を賃金に

知的障害者に贈答用のコチョウランを栽培してもらい、自立を支援しようと、富津市西大和田に温室「アロンアロン・オーキッドガーデン」が完成し、12日に披露された。苗のオーナーを募って栽培資金を出資してもらい、収益を障害者の賃金に充てる仕組みだ。

運営するのは、いすみ市のNPO法人「アロンアロン」理事長の那部智史さん(48)には重度の知的障害がある長男(21)がおり、障害者の月額賃金が平均で約1万5000円と知ったことから「息子と同じ境遇の人たちが経済的な自立を図れる社会にしたい」と思い立った。
慶事での需要が高いコチョウランの栽培・販売で自立を支援しようと考え、同NPOを設立したのは2013年。法人名の「アロンアロン」は、那部さんの好きなバリ島の言葉で「ゆっくりゆっくり」の意味だという。障害者の育てたコチョウランを全国に販売する事業からスタートし、取引先企業が600社を超えるなど軌道に乗ったため、温室を建てて栽培から販売まで手がけることにした。
富津市の知人から借りた土地に建設した温室は広さ693平方メートルで、1万8000本の栽培が可能。温度や湿度、水やりなどをコンピューター管理し、栽培方法を学んだスタッフが知的障害者に育て方を教える。
日本財団から建設費の6割にあたる3800万円の助成を受けた。
コチョウランの苗のオーナーを募って出資してもらい、栽培資金とする形で、出資は基本的に10本分(1万円)から。障害者が半年かけて育て、このうち1本を誕生日や母の日などの記念日にオーナーに届ける。
残る9本は提携企業に販売し、その収益を障害者に支払う。月額賃金を10万円にするのが目標だ。
オーナー募集はインターネットを通じて既に始めており、これまでに154人から282万円が集まった。温室で働く障害者は20人の予定で、今後公募する。
那部さんは「オーナーとなった苗が障害者の手で育てられる。開花したら大切な記念日に届き、障害者の自立支援にもつながる。そこに共感してくれる人を増やしていきたい」と話している。お問い合わせは同NPO(0470・62・6215)。